ものづくりの現場では、図面通りに部品をつくるだけでは解決できない課題が数多くあります。現場で本当に必要とされているのは、部品そのものだけでなく、その先にある困りごとに向き合う姿勢なのかもしれません。
日高市に拠点を構える「株式会社アイジェクト」は、医療機器や理化学機器、航空宇宙関連の部品製造を通じ、幅広い業界のものづくりを支えてきました。銅加工の技術を礎にしながら、時代の波を乗り越え、現場の声に応えることで仕事の幅を広げてきました。
「株式会社アイジェクト」を日高市で立ち上げられたきっかけを教えてください
もともとは坂戸で、父と母が町工場のような形で仕事をしていました。ところが、バブルがはじけた頃に父が高額なNC装置マシニングセンターを購入したものの、使いこなせず半年ほど動かない状態が続いてしまったんです。
私は当時会社勤めをしていましたが、このままではまずいと思い、会社を辞めて家業に入りました。その後、営業に回る中でご縁をいただき、国のプロジェクトに関わる電子顕微鏡の部品づくりに携わることになりました。
そうした経験を通じて、「このままではいけない」「会社としてきちんと成長していかなければ」と感じ、今から28年前に土地を買い、建物を建てて、日高市で会社として本格的にスタートしました。
「株式会社アイジェクト」の特徴やこだわりはどのような点ですか?
当社の特徴のひとつは、長年医療機器分野に携わってきたことです。コロナ禍では、エクモや人工呼吸器に関わる部品も手がけました。
また、父の代から続いている銅加工の技術も大きな強みです。今では半導体に使うバッキングプレートや、量子コンピューター関連の冷却部品など、銅の特性を活かした部品づくりにも広がっています。
会社としては小規模ですが、その分、自分たちの強みを活かしながら、大手では対応しにくい領域にも取り組んでいます。医療機器、理化学機器、航空宇宙関係など幅広い分野に関わっているので、ある業界で培った知見を別の業界に応用できるのも特徴だと思います。
「株式会社アイジェクト」としてお客様と向き合う中で、日々大切にしていることを教えてください。
大切にしているのは、お客様が何をしたいのかをよく聴くことです。図面だけを見ていても、その背景までは分かりません。でも、よく話を聴くと「実はここで困っている」ということが見えてくるんです。
そうすると、「それならこういう解決方法があります」と提案もできます。図面通りにつくるだけではなく、お客様と一緒にものづくりをしていく。その姿勢はずっと大事にしていますし、当社の営業担当にも同じことを伝えています。
お仕事の中で、「やっていてよかった」と感じるのはどのような瞬間でしょうか?
創業時にご縁をいただいたお客様から、リーマンショックの頃に再び大規模なプロジェクトのお話をいただき、電子顕微鏡づくりに関わる機会がありました。
その頃にはこちらにも知識やノウハウが蓄積されていて、以前よりもさらに深く携わることができたんです。そして完成した大きな装置を見た時は、本当にやっていてよかったと感じました。
自分たちがつくった部品が組み合わさって、ひとつの大きな装置として形になる。その実感と、お客様から成果が出たと言っていただけることは、大きなやりがいですね。
運営にあたって、どのような苦労がございますか?それをどのようにして乗り越えてきたかについてもお聞かせください。
これまでバブル崩壊やITバブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災、コロナ禍と、いろいろな波がありました。そうした苦難を越えるうえで大事なのは、いい時におごらないことだと思っています。いい時も悪い時も、ずっとは続きませんから。
もうひとつ大事なのは、人とのご縁です。リーマンショックの時も、最初にお世話になったお客様から声をかけていただきましたし、東日本大震災後には、ガンの薬をつくる装置の部品のお話もいただきました。コロナ禍では、エクモや人工呼吸器関連の案件に携わり、少しでも世の中に貢献できたのではないかと思っています。
常にアンテナを張りながら、既存のお客様を大切にしつつ、新しいお客様との出会いも広げていく。そうやって乗り越えてきました。
今後「株式会社アイジェクト」として挑戦していきたいことを教えてください。
これからも世の中にまだないものをつくっていきたいと思っています。
東南アジアをはじめ海外の力も強くなっている中で、日本でしかできないもの、日本だからこそできる研究開発や特殊加工に取り組んでいかないと生き残れないと感じています。
また、自社だけでなく、小規模企業同士が連携しながら、みんなで良くなっていくことも大事だと思っています。会社が続いていくこと、その中で働く社員さんが幸せになっていくこと。そうした経営を目指していきたいですね。
最後に、日高市の魅力、好きなところについて教えてください。
日高市のいいところは、自然があって、せわしなさがあまりないところですね。観光できる場所もありますし、地域のつながりも感じます。
それに、新しい人を受け入れる空気があるのも魅力だと思います。
私たちが来た頃はまだ新しい会社も少なかったですが、この20年ほどで新しい人たちを受け入れる体制が整ってきたと感じています。行政面だけでなく、人の空気感としても、開かれているところが日高市の良さだと思います。
| 公式HP | https://www.i-ject.com |
|---|---|
| 住所 | 埼玉県日高市駒寺野新田251-14 |
| 電話番号 | 042-989-8941 |






