川越で長く親しまれてきた「ひまわり幼稚園」。その歩みは昭和28年、地域の子どもたちに幼児教育の場をひらきたいという創立者の思いから始まりました。現在も“子どもがまんなか”という考え方を大切に、実体験を軸にした保育や、絵本に親しむ環境づくりなど、時代に合わせて形を変えながらも本質はぶらさない幼児教育をおこなっています。園長 金子泉さんに、創立の背景やこだわり、日々の喜びと課題、そしてこれからの挑戦についてうかがいました。
「ひまわり幼稚園」が川越に開園した背景について教えてください。
ひまわり幼稚園は昭和28年に、この地で小学校教員だった祖母・金子淳美が創立しました。
戦後の子どもたちの置かれた状況を見て、幼児教育の大切さを痛感し、地域の子どもたちを健全に育てたいという思いから始まった幼稚園です。
川越でも古くからの幼稚園の一つですが、当時から「地域の子を地域でしっかり育てる」ことを目標にしてきました。
「ひまわり幼稚園」としてのこだわりや特徴を教えてください。
基本は“子どもは一人ひとりみんな違う”という考え方。その違いを認め、温かな関係の中で「心と体を育んでいく」ことを大切にしてきました。
実体験の機会を広げるのも特徴です。
サッカーやスイミング、合気道、会館やホールの広い舞台での発表、鼓笛隊など片寄りのないバランスのとれた経験ができる場を用意しています。
時代に則して、例えばコロナ禍などで内容を見直すこともありましたが、「好き・得意を見つけ、安心して自己発揮できる体験」を重ねる方針は変わりません。
「ひまわり幼稚園」の運営にあって、大切にしていることは何ですか?
社会は大きく変わり、共働き家庭や地域とのつながりのあり方も変化しています。降園後も安心して過ごせる預かり保育や連絡アプリ、バスの位置がわかる機能など、保護者の利便性を高めるデジタル化は進めています。
一方で、子どもにとっては“直接的な実体験”が大切。
その中で他者とのコミュニケーション能力、創造力や道徳心などが身につけられるよう、保育を展開しています。絵本に親しめる「絵本館」を整え、いろいろな感情を味わい、五感に訴える保育を続けています。
園の方針は「ご家庭とともに歩む保育」ただし、常に中心は子どもです。
子どもの幸せを第一に考えることが、保護者にとっても安心につながると考えています。
園児の方々と接する中で「この仕事をやっていてよかった」と感じる瞬間を教えてください。
卒業生が訪ねてきてくれる時は本当に嬉しいですね。
毎年の運動会では卒業生による「つなひき」の競技があり、たくさんの小学生が参加してくれます。元気な姿を見てとても安心します。小学校での活躍を聞いたり、絵本館の開設に合わせて絵本を寄贈してくれたりと、保護者の皆様とも交流が続いています。園での経験がその後の読書習慣につながり、学校の読書マラソンで上位に入ったという話もありました。
憧れた先生の影響で保育の道に進み、先生として戻ってきた卒業生や、幼稚園の運動コーチを務めている卒業生もいます。幼稚園での良い記憶が循環していくのを感じる瞬間に、「続けてきて良かった」と実感します。
「ひまわり幼稚園」の運営にあたって感じる難しさや、ご苦労はどのような点にありますか?
いちばんは子どもの命を預かっているという責任です。
園児にとって安全な環境、保護者にとって安心できる環境づくりに、日々気を配っています。ヒヤリハットの共有や再発防止の徹底など、積み重ねが不可欠です。様々なニュースなどからも、安全の大切さを再確認しますし、園内でも例え小さなケガでも、「次に起こさない」ための仕組みを整えています。
これから「ひまわり幼稚園」として挑戦していきたい取り組みを教えてください!
少子化が進み、園の形態も多様化していますが、私たちは“子どもを中心に据える”ことを変えずに、実体験をより大切にしていきたい。
デジタルメディアへの接触が早まる時代ですが、科学的な知見でも、愛情ある大人との関わりや五感を使った体験の重要性は広く指摘されています。保育はバーチャルではなくリアルに。触れて、聞いて、感じる場をこれからも守っていきたい。一方で、連絡や配信など保護者向けのデジタルは引き続き活用し、安心と利便性を両立させていきたいですね。
最後に、川越の魅力や好きなところと、これからに期待したいことを教えてください。
川越は歴史と伝統があるだけでなく、人のあたたかさが残る街です。昔からのつながりを大切にできる風土も魅力だと感じています。
その一方で、歩道や公園、運動施設など、子どもが安心して過ごせる環境整備も、今後さらに進むと良いと感じています。
観光地としての強みを活かしながら、若い世代が「住みやすい」「子育てしやすい」と感じられる街づくりが進めば、川越はもっと良くなるはずです。子どもが未来をつくるのですから。
| 住所 | 埼玉県川越市三久保町16-6 |
|---|---|
| 電話番号 | 049-222-2492(代) |
| アクセス | 西武新宿線本川越駅 徒歩約15分 |
| 公式HP | https://www.himawari-gakuen.ed.jp |






