川越のシンボル「時の鐘」からほど近く、観光客で賑わう小江戸の街並みの中に、どこか懐かしく、ほっと心を落ち着かせてくれる店構えのうどん店、「鐘つきうどん きんちょう」があります。
お昼時になれば、名物のうどんを求めて地元の方から国内外の観光客、さらには校外学習の中学生まで、幅広い人々が次々と暖簾をくぐっていきます。
「鐘つきうどん きんちょう」が時の鐘の近くでうどんをはじめられたきっかけを教えてください。
店主: 実は、ここはお隣にある父の実家から続く場所なんです。このうどん屋を始める前は、父がここで小売りのお肉屋さんを営んでいました。当時はお隣が八百屋さん、その隣が魚屋さんと、3軒並んで活気のある通りだったんですよ。
ただ、時代の流れとともにスーパーマーケットなどが普及し始め、個人のお肉屋さんをそのまま続けていくのが難しくなってきた時期がありました。その時、大のうどん好きだった父が一念発起して、「ここで新しく別の商売を始めたい」とうどんの勉強を重ねて、お店をガラリと変えたんです。それが今(取材当時)から38年前、私が中学3年生の時のことでした。
今でこそありがたいことに観光客の方で賑わっていますが、始めた当初は今ほどの観光ブームではなくて、近所の市役所の方や、周りでお仕事されている方々がお昼を食べに来てくださる、地域密着でのスタートだったんです。
「鐘つきうどん きんちょう」の一番おすすめのメニューを教えてください。
店主: 一番人気があるのは、揚げたてのサクサク天ぷらがついた「天せいろ」ですね。今の時期ですと、冷たいうどんでツルッと召し上がっていただくのが好評です。
そして、うちならではの特徴が出ているのが、元お肉屋さんというルーツを活かしたメニューです。
独自の仕入れルートがあるので、上質なお肉を使った「ヒレカツ」のセットや、あったかいうどんの上に卵かつ煮を豪快に乗せた「かつうどん」がとても人気です。ご飯とうどんが半分ずつ楽しめるセットもあり、がっつり食べたい方や、珍しい組み合わせに惹かれて注文される外国人の観光客の方もたくさんいらっしゃいます。
メニュー(※一部抜粋、取材当時のものです。詳細は店頭にて。)※時期によってメニューが変わる場合がございます。
| せいろ | 手打ち 900円 いも 1,000円 |
|---|---|
| 天せいろ | 手打ち 1,650円 いも 1,750円 |
| ヒレカツセット | 手打ち 1,650円 いも 1,750円 |
「鐘つきうどん きんちょう」のうどんのこだわりについても教えてください。
店主: うどんは普通の白い手打ちうどんと、川越特産のさつまいもの粉を練り込んだ「芋うどん」の2種類から選んでいただけます。
この芋うどんにもちょっとしたドラマがあって、もともとは川越にあった「戸田製麺」さんという製麺所から仕入れた乾麺をお出ししていたんです。ところが、その製麺所さんがお店を辞められることになって、芋うどんが仕入れられなくなってしまう危機がありました。
「川越名物のこの味を、うちで途絶えさせたくない」と思い、製麺所さんからさつまいもパウダーの仕入れ先を教えていただいて、うちの自家製手打ち麺として同じ味・風味を再現できるように試行錯誤して作り直したんです。昔の乾麺の細さとは少し変わった部分もあるんですが、形を変えてでもこの伝統を守り、提供し続けられて本当に良かったと思っています。
「鐘つきうどん きんちょう」を運営される中で、日頃から大切にされている価値観は何ですか?
店主: 何よりも「来ていただいたお客様が、気持ちよく帰っていただけるように」という思いを日々大切にしています。うちのパートさんたちも本当に皆さん親切に対応してくださるので、いつも感謝しています。
そのおもてなしの心が届いているのか、遠方から定期的に1人で通ってくださる年配のお客様や、「毎月の通院帰りにここで食べるのが楽しみ」と言ってタクシーで帰られるご近所の方など、たくさんの方にリピートしていただいております。
特に嬉しいのは、何年か前に中学校の校外学習や社会科見学でお昼を食べに来てくれた生徒さんたちが、大人になってから「中学の時にみんなでここで食べたんです。今度は家族を連れてきたくて!」と戻ってきてくださることですね。日によっては外にずらりと学生さんのスニーカーが並んで、まるで学食のようになる日もあるのですが、そうやって子どもたちの記憶に残り、おねだりしてご家族でまた来ていただけるのは、お店を続けていく上での最高の喜びです。コロナ禍の前後でやむを得ずお休みしたメニューがあった時も、「あの味が忘れられなくて」と何年も前の記憶を大切に訪ねてきてくださる方がいて、本当に胸が熱くなります。
川越の街の好きなところ、魅力を教えてください。
店主: 私自身、小さい頃は時の鐘の奥にあったブランコで毎日学校帰りに遊んでいたくらい、この街が生活のすべてでした。
川越の最大の魅力は、街並み全体が「どこかを真似て作られたものではない、昔からそのまま残っている本物であること」だと思います。蔵造りの建物一つひとつに重厚感があり、皆さんがこの素晴らしい景観を維持しようと並々ならぬ努力をされている。唯一無二の景色がここにはあります。
そして何より、地元の人の「川越愛」がものすごく深いです。私の同級生たちも、結婚して一度街を離れても、お祭りの時期になると絶対に戻ってくるんです。一度外に出ても、何かの時に必ず「帰ってきたい」と思える場所が生まれ故郷であるということは、本当にありがたくて幸せなことだなと思います。
| 住所 | 埼玉県川越市幸町6-13 |
|---|---|
| 電話番号 | 049-223-0345 |
| 営業時間 | 営業時間:11:30~15:00(土日:11:00~16:00) 定休日:月曜日・火曜日 |
| アクセス |
本川越駅から徒歩約15分 |
| 公式HP | なし |






