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川越/松本醤油商店は、約250年続く醤油蔵元。天保元年建造醤油蔵での天然醸造にこだわる、松本勇一さんの想い。

松本醤油商店は、埼玉県川越で約250年続いている蔵元です。昔ながらの天然醸造にこだわり、香りたつ旨さが特徴のはつかり醤油が看板商品です。

 

 

松本醤油商店の天保元年に建造された蔵には、江戸時代から使い続けている杉桶が40本並び、川越市の都市景観重要建築物にも指定さています。

今回は松本醤油商店 専務取締役の松本勇一さんにお話を聞いていきます!本日はよろしくお願い致します!

松本醤油商店専務取締役である、松本さんは川越とどのような繋がりがあるのでしょうか?

松本:地元は川越市仲町で、川越で生まれて川越で育ちました。昔からこの地域を駆けずり回っていましたね。ただ、その当時は川越に大きな愛着があったわけではなくて、親元から離れたかったという理由から18歳から4年間イギリスに行ったこともありました。一度川越から離れてみて、いろいろ分かったことがありまして、結局川越に戻ってきました。

川越という街は、私のように1度離れても帰ってくる人が多いところです。その理由は何かと考えた時に、川越に育てられた人が多いからかなと思っています。というのも、地域の繋がりが強い街で、街を歩いても知らない人がいない。地元のおじいちゃんおばあちゃん達に怒られて育ってきたような人が多い街だから、帰ってきているのかなと思います。自分もその1人ですね!その当時は有名な観光地でもなかったですし、住みたいまちランキングで上位に入っているわけでもなかった中で、やっぱり川越という街の人の繋がりは帰ってくる理由として大きかったです。

あと、お祭りがあるのも人の繋がりを生み出すきっかけになっているのかなと思います。人間同士が1つのものを作り上げることもそうですし、お祭りがあることで年に一回絶対帰ってくるので、そこで人の繋がりが強くなりますよね。

松本さんが松本醤油商店を継ぐきっかけなどありましたら、教えてください。

松本:初めは全く継ぐ気がなかったですね。ただ、継ぐきっかけとなるエピソードが1つあります。

私の親父とじいちゃんは考え方が違ったこともあり、仲が良く無かったんですよね。おじいちゃんは職人肌すぎて、親父はもう少し経営のことを考えるような人でした。色々な意見でぶつかり合っていた2人でしたが、唯一意見があっていたのが、「この古い蔵を残すのが俺たちの使命」というところでした。

そういった中で、じいちゃんが死ぬ直前に親父に「ありがとう」と言っているところを見て、単純に良い話だなと思うのと同時に、私も「やらなければまずいかな」と思ったきっかけでした。それまで親父に対してありがとうなんか言ったことなかったじいちゃんが、死ぬ間際に言うってことは感じるところがありましたね。正直それまでは企業に勤めた方がいいと思っていました(笑)

松本醤油商店さんが川越にできた背景を教えてください。

松本:もともと松本家は醤油製造業をしていませんでした。江戸時代に横田五郎兵衛さんという大豪商が川越で醤油製造業を始めたのが最初で、のちに一部が松本醤油商店となります。川越は江戸幕府とのつながりによって、お醤油の製造と出荷が強かったんですよ。というのも、新河岸側を伝って江戸幕府にお醤油を運ぶことができたからです。川越にお醤油屋さんが多いのはその名残りと言われています。

そして、江戸幕府が倒れて横田家も衰退していき、部門ごとに切り売りをすることになり、一部を松本家が買い取ったことで、松本醤油商店ができました。だから、松本醤油商店自体はあまり長くはないんですよね。

松本醤油商店さんの醤油に対するこだわりや特徴を教えてください。

松本:うちは天然醸造という作り方をしていて、蔵と桶が天保時代に作られたものです。一部は機械化されてはいるのですが、昔ながらのできる限り手作りに近い作り方をしているのが特徴です。

また、蔵を残すという祖父と父の想いがあるからこそ、ここで作らなければいけないですし、作ったものを川越の名産物の一つとしてやっていきたいというのがこだわりとしてあります。味の特徴としては、他の醤油より『旨味』と『香り』が強いところですね。蔵ごとにお醤油の味が全然違うんですよ。作り方とか原料はほとんど同じなのですが、寝かせ方や寝かせる場所とかでその蔵のクセがあります。松本醤油のお醤油は旨味と香りが強いというところですね。

お醤油にはいろいろな種類があるので、自分の好きな蔵のお醤油を買うといった選び方をしてもらうと面白いかなと思います。

松本醤油商店さんとして、松本さん個人として、今後進化していきたい、伸ばしていきたいと思っている部分があれば教えてください。

松本:継承しなければいけないものを残していくということを、今後もやっていきたいと考えています。新しい商品を作ったり、新しいパッケージにすることはどちらかと言えば簡単で、昔からあるものを残していくことや、少し曲がってしまったもの昔に戻していくという時代に逆らう作業は大変なところがあります。

ただ、大量生産の時代で安価で作って業務用として大量に売るということが多かった時代のお醤油のように質が低いものではなく、完全にうちでしかつくれないものにしていく。選ぶ人が選んでくれるような、限られた人にしか渡らないような質の高いお醤油を、昔ながらの蔵で作っていきたいと思っています。うちの商品を気に入ってくださった方に、もっと良いもの、もっと良いお醤油を出せるようにしていきたいですね。

川越の街の魅力、好きなところがあれば教えてください。

松本:観光地以外の部分ですかね。一番街や蔵づくりばかり注目されていますが、それ以外の部分も見て欲しいです。

例えば、昔ながらの飲食店もぜひ行ってみて欲しいですね。昔からあって地元の人しか行かないようなお店で、おばちゃんが出す手料理を食べるのは好きですね。入りづらいとは思うのですが、ちょっとでも顔を出してもらうと面白いと思います。

その他には、農業も川越の魅力だと思います。川越の農業は本当に素晴らしくて、芋掘り以外にも様々な美味しいものを生産しています。

あと、商店街も魅力ですね。霞ヶ関の角栄商店街さんとかは面白いですよね。学生さんもたくさんいますし、飲み屋もありますので。また、それぞれの場所で歴史や伝説や寺院があったりするので、聞いてみるのも面白いと思います。

観光地だけではなく、そのほかの川越の魅力も見てほしいです!

 

住所 埼玉県川越市仲町10-13
電話番号 049-222-0432
アクセス 西武新宿線 本川越駅より徒歩10分

東武東上線 川越市駅より徒歩10分

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