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川越・川島町で愛され230年。 笛木醤油株式会社は 寛政元年から現代、そして未来へ「地域のために」想いを繋ぐ

寛政元年創業の笛木醤油株式会社は、川越・川島町で230年以上支持され続けている蔵元です。「金笛(きんぶえ)」の名で知られる濃口醤油「金笛醤油」「金笛丸大豆醤油」は時代を超えて愛されています。

 

 

伝統的な木桶作りのお醤油を守りつつ、金笛醤油パークの開業や金笛木桶バウムの販売といった新たな分野にも力を入れている蔵元です。

今回は金笛醤油株式会社 12代目社長の笛木吉五郎さんにお話を聞いていきます!本日はよろしくお願い致します!

 

 

笛木醤油株式会社は、寛政元年(1789年)創業ということで230年以上、川越・川島町で支持されています。そこにはどのような背景があるのでしょうか?


笛木:そうですね。家訓というわけではないのですが、代々語り継がれていることがありまして、それが「地域との絆、地域とのつながりを大切にしなさい」という言葉です。「地域」という言葉は代々言い続けていて、僕だけではなくて父親も祖父もその前もずっと大切にしてきました。そういう地域というものと切り離してこなかったというDNAが笛木醤油には流れていて、それが背景の一つだと思います。

 また、このように代々地域を大切にしてきた理由は、「地域に対する畏敬の念」をとても高いレベルで持っているからですね。今は減ってしまったのですが、川島町にはお醤油の原料と大豆と小麦を生産する農家さんが大勢いらっしゃいました。さらに、川越市も川島町も四方を川に囲まれていることもあり仕込みに使う綺麗な水が豊富に取れました。こういった地域の資源を上手く活用させてもらって笛木醤油株式会社が始まったところがあるので、地域に対する畏敬の念を高いレベルで持っています。

笛木醤油株式会社は、川越市に金笛醤油などの商品を直売店として販売している川越支店および飲食店うんとん処春夏秋冬を平成7年にオープンされました。そこにはどのような背景があるのでしょうか?

笛木:一言で言うと、「川越に対する恩返し」です。今から25年前に川越青年会議所で本当に川越にお世話になったこともあり、川越に対して何か貢献したいという想いでオープンしました。

 支店を出すこと以外にも、小学生の工場見学を無料でやらせていただいたり、学校に行って醤油に関する授業をやらせていただいたりしています。日本醤油協会の醤油物知り博士という資格を持っているので、授業を通して若い世代にお醤油の魅力や価値を伝えるということをしています。

笛木醤油株式会社は、バウムクーヘンとしては珍しい醤油やいちごを使った金笛木桶バウムなどのスイーツ販売、金笛しょうゆパークの開業など、新たな分野に挑戦しているところが印象的です。そこにはどのような背景があるのですか?

笛木:まず、「やりたいことをやる」というCOEDOビールの朝霧社長から頂いた言葉が背景にあります。私が社長になり右も左も分からず、業績もなかなかうまく上がっていかないというときに、COEDOビールの朝霧社長とお話をする機会をいただきました。COEDOビールの朝霧社長は僕に、「義務感や責任感で行動していても周りの人もつまらないと思うよ。自分がやりたいことをやればいいじゃないか。そうすれば、周りの人も楽しく仕事ができると思うよ」と話していただき、その時に肩の荷がおりました。

12代目という伝統を継承していかなければならない立場もあって自分の想いを抑えていた部分もあったのですが、突き抜けてやっていいんだなと思えるようになりました。もちろんバランスは大事ですが(笑)

 そんな中で会社が生き残っていくためにまずやらなければいけないことは、「伝統的な木桶仕込みのお醤油の魅力や価値を伝えること」と思っていたので、これまでとは違った伝え方に挑戦していった形になります。

「伝統と革新」という言葉があります。この言葉について笛木社長はどのようにお考えでしょうか。

笛木:正直なところ、伝統という言葉は嫌いですね。伝統というのはあぐらをかくとかネガティブな言葉でしかないと考えていて、伝統が嫌でこの会社を継ぎたくないと思っていた頃もありました。もちろん今ではこの会社を継いで良かったと思っています。

 何が言いたいかというと、壊して壊して壊し続けて残ったものが伝統で、壊して壊して残らなかったら伝統ではないということ。笛木醤油にとってそれは、「地域とのつながり」という部分で、そこだけは外すことはできない伝統ですね。

だから、常に壊し続けて、常に新しいことをやり続けるしかないと思っています。

笛木醤油株式会社は、「未来へ繋ぐ100年プロジェクト」に取り組んでいらっしゃいますが、そこにはどのようなきっかけがあったのですか?

笛木:2015年に私は会社の常務となって、会社の方向性やビジョンを考える立場となりました。当時、創業230周年を前にもう一度会社の方向性を明確にして、方向づけをすることが必要であると感じ、前々から構想していたこのプロジェクトをさらに考え抜きました。そして、「作り手として」「地域人として」「親として」という三つの柱が大事だと思い、それを明確に言語化したものが「未来へ繋ぐ100年プロジェクト」になります。

 ただ、若造の自分がいきなり発表しても従業員の方々にはこのプロジェクトがどのようなものか理解をされにくく、最初はそこに苦労しました。しかし、「作り手として」という部分では、「木桶仕込みの醤油づくりを未来に伝えたい」という想いのもと木桶づくりの職人さんにきていただいて木桶を作る施策を実施するなど、実際に行動として落とし込んでいきました。

言葉にすることは簡単なことで具体的なアクションを起こしていくことで理解してもらいました。

 笛木醤油株式会社として、今後進化していきたい、伸ばしていきたいと思っている部分があれば教えてください。

 

笛木:そうですね。僕自身が醤油のような存在になりたいと思っています。

 やっぱり醤油ってすごいんですよ。何がすごいかというと、醤油って絶対に単独では生きていけなくて、食材を活かしたり、料理を引き立てたりしている。脇役であり活かし役であり引き立て役なんですね。

つまり「活かす」ということが出来る人間になりたいなと思っています。

何か新しい価値や革新というものは、活かし続けることによって生まれていくと思ってて、私1人では何も生まれないんですよ。

醤油になりきって「活かす」「引き立てる」というところを突き詰めていきたいです。

 具体的な活動の一つとして、川越の魅力をバウムクーヘンを通して伝えていきたいと考えています。現在、川島町の卵、川島町のいちご、醤油を活かしながらバウムクーヘンの事業を行なっています。さらに「活かす」というところで、「富の川越いも」という品種のさつまいもを使ったバウムクーヘンの新商品を開発しています。それを皮切りに、川越にバウムクーヘンの小江戸川越店を作り、魅力を発信してきたいと考えています。「富の川越いも」以外にも、河越茶や鏡山さんの酒粕を使ったバウムクーヘンなども販売していきたいと思っています。

川越の街の魅力、好きなところがあれば教えてください。

 

笛木:やっぱり川越の魅力は、食文化が高いところだと思います。江戸の台所を担ってきたこともあり、COEDOビールさんや松本醤油さんや私たちの会社があったりだとか、食べ歩きのグルメが豊富なところも魅力ですね。

 あとは、蔵づくりの景観は本当に美しいですよね。美しい建物や美しいものを見ることが出来るってことは素晴らしいことだと思います。

住所 金笛直売店 川越店:埼玉県川越市幸町10-5

飲食店「うんとん処春夏秋冬」:埼玉県川越市幸町10-5

金笛醤油パーク:埼玉県比企郡川島町上伊草660

電話番号 049-297-0041
笛木醤油株式会社 公式HP https://kinbue.jp/
笛木醤油株式会社 公式 SNS 笛木醤油株式会社 YouTube:

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笛木醤油12代目社長 Twitter:

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金笛醤油パーク Twitter:

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