株式会社80%は異なる職能を持つ者たちが、川越を中心に遊休不動産やインフラ等を再編集してまちづくりを行う少人数による機動組織です。川越の歴史があり、美しい街の景色を残していくために、活動しているリノベーションの会社です。
- 株式会社80%を作ろうと思った経緯にはどのような理由があるのでしょうか?
- 株式会社80%はどんな業務内容なのでしょうか?
- 株式会社80%が川越に生まれた背景にはどのような理由があるのでしょうか?
- 株式会社80%で成し遂げたいことはどのようなことになるのでしょうか?
- 株式会社80%の特徴は、他のリノベーションやリフォーム会社さんと比較して、どのようなものになるのでしょうか?
- 株式会社80%の代表である荒木さんはこれまでどのようなご経歴なのでしょうか?
- 元々荒木さんとして建築を志向された背景にはどのような背景があったのでしょうか?
- 荒木さんが生涯かけて作りたいという建物はございますか?
- 株式会社80%として、今後伸ばしていきたいことはどのような箇所になりますでしょうか?
- 株式会社80%を運営されていく中で大事にしていきたいことはございますか?
- 川越の街の魅力、好きなところがあれば教えてください!
株式会社80%を作ろうと思った経緯にはどのような理由があるのでしょうか?
荒木:2016年に川越市産業振興課主催で、「まちづくりキャンプ」という3日間のリノベーションのイベントがありました。 そのイベント自体が株式会社80%を作るきっかけといえば、きっかけでしたね。
私自身は「まちづくりキャンプ」が開催される前から、川越以外でもリノベーションの事例を見ていたり、他のリノベーションスクールなどに通っていたりもしたので、川越にもそういうリノベーションを学ぶ場があるといいなーと思っていたタイミングで、「まちづくりキャンプ」を見つけました。
今の株式会社80%のメンバー4人は全員そこで出会いました。
株式会社80%が手掛けた「すずのや」という飲食店がある場所が「まちづくりキャンプ」開催時の対象物件で、その物件をどう再生させるのかというのがテーマでした。
株式会社80%はどんな業務内容なのでしょうか?
荒木: 株式会社80%の業務としては、メインでやっているのはリノベーションの企画、工事から、最終的に面白いところであれば、運営まで関わるなどリノベーションを軸に業務を行なっています。
建築工事というと通常、下請けがあったりとヒエラルキーでやっていくのですが、株式会社80%の場合は、施主、設計者、SNSで呼びかけて集まってくれた人など関わる人がみんなで一緒に作っていくというのが一つの特徴です。
株式会社80%の工事規模が大規模ではないというのもありますが、自分たちでできることは自分たちでやっていこう、というのを大事にしています。
また、補助金や助成金に頼らないのをモットーにした会社なので、自分たちでもリスクを取りながらでも楽しい世界を作ったほうが、結果として続くものになるんじゃないかと思っています。
普通、リノベーション会社というと、アンティークやエイジング材などを使って古さを”提供する”という形になりますが、株式会社80%はみんなで”創っていく”ということを意識的に行っています。
株式会社80%が川越に生まれた背景にはどのような理由があるのでしょうか?
荒木:株式会社80%の運営メンバーは、みんなそれぞれ川越近辺のエリアに縁のあるメンバーで運営しています。私自身は川越南高校という高校出身で、今は川越市に住んでいます。
株式会社80%のメンバーはそれぞれ自身で事業をやりながら、副業という形で関わっています。
おもしろおじさんで楽しいことをやろうよということで、このエリアに来たらワクワクしてなんか笑っちゃう、そんな場所になっている気がします。
会社としてはお金がなくなっちゃったら、それぞれ自分で事業をやっているので、そこでしっかり稼いで、また株式会社80%に蓄えて・・・といった循環で会社を運営していて、大体1年に1つの場を築いていってます。
株式会社80%で成し遂げたいことはどのようなことになるのでしょうか?
荒木:川越で「なくしちゃいけないものを、守っていく」ということを続けていきたいですね。最近は川越でも残すべき重要な建物等が無くなったりしています。
川越の場合、歴史がある分、守ってきたものも多い反面、次の世代に引継ぎ守り続けていくためにも、古い良いところを残しながらも、例えば新しい要素を入れつつ、事業として収益化していく、といった必要があります。
株式会社80%のような会社って川越にはありそうでなかったんですが、 全国を見たら北九州だったり、和歌山だったり、熱海だったり、全国でこういう動きは既にたくさん起こっているんですよね。
僕はたまたま全国にそういう仲間がたくさんできていたので、アドバイスをもらいながら川越で真似してやっているというのが現状です。
株式会社80%の特徴は、他のリノベーションやリフォーム会社さんと比較して、どのようなものになるのでしょうか?
荒木:1番の違いは、リノベーション提案をした僕ら自身が1番「動いて」いることですかね(笑)
実際に工事部隊としても身体を使って動いていく。
普通のリノベーション会社は、チームが組まれても下請け会社が施工したりするのが当たり前ですが、株式会社80%の場合は提案した本人がお施主さんと一緒に作業します。
もちろん設計図などはありますが、その場の突発的に起きてくることにも臨機応変に対応しながら、お施主さんと共同して一緒に建物を作り上げていく。
そういう意味で、とてもフランクで、柔軟な会社、組織だと思います。
その前提として、会社として築いていく場が長く愛され、続いていくことを大事にしているので、 ただリノベーションをやるだけではなく、その後も人間関係が続くようにしていくことを意識的に行なっています。 だから、工事後「あとは頑張ってください!」で区切られるのではなく、その後も関係性が続いているオーナーさんが多いですね。
株式会社80%の代表である荒木さんはこれまでどのようなご経歴なのでしょうか?
荒木:高校を卒業してから、自分の両親からは大学の学費は出さない(貧乏で出せない(笑))というのを最初から言われていましたので、だとすると、国立大学か、夜間学校かのどちらかだと思いました。
その時奨学金という選択肢はなかったんですよね。(笑)
国立は学力的に難しいなと思って、元々建築系に進みたいということで探したところ、東京理科大学が一番自分のやりたいことに合致していたので、入学することにしました。
昼間はたくさん働いて、夜は大学に通うという生活をしていましたね。
大学卒業後、建築家を目指していたのですが、建築の天井裏や壁の納まり、いわゆるディテールを何も知らないで設計することに違和感を覚えていたので、地元川越のゼネコン(総合建設業、general contractorの略。元請負者として各種の建築工事を一式で発注者から直接請負い、工事全体のとりまとめを行う建設業者)に入社して、そこで作り手としての知識を学びたいと思ったので、自分で納得するまでやろうと思い入社しました。
最初は3、4年でやめようと思っていましたが、そんなに甘くなくて、結果として10年くらいその会社にいましたね。
10年経って一通り学んだと思えたので、上福岡にある4、5人でやっている設計事務所に入って、6年くらい実務を学ばせていただいて、その後独立して今に至ります。
独立したのが2013年で、今まで個人事業主で一級建築士設計事務所(maao: https://maao.jp)をやりながら、株式会社80%を運営している形です。
元々荒木さんとして建築を志向された背景にはどのような背景があったのでしょうか?
荒木:建築を目指した背景は、自分の実家がキリスト教プロテスタント教会で父が牧師だったんですよね。
それで教会堂と家が合体した家に住んでいて、最初は平屋だったんですが段々と増築される様子を見て、建築って面白いなと思ったのが1つのきっかけです。
その継ぎ足して行った教会堂はいつか建て替えないといけなくなったのですが、その時には自分が何らかの方法で関わりたいと思っていました。
あと、建築自体を好きになったきっかけがもう1つあって、高校1年生の夏に、タイに灌漑用水路を掘るワークキャンプに行ったんです。
その時に、オプションでバングラデシュにいくきっかけがあって、バングラデシュは極貧の世界でたくさんの子どもたちが目の前で死んでいくような厳しい世界だったんですが、色々と衝撃を受けて帰る時に、大草原の遥か彼方にとんでもなく「でかい建物」があってそれにものすごく衝撃を受けました。 のちにそれが、ルイスカーンという人物が設計した国会議事堂だったことがわかりました。
高校の進路を考えるときに、当時受けたインパクトを忘れることができずに、建築って面白いな、ということで、建築へ進むことにしました。
建築ってものすごく印象を与える建物があって、そういう建物を作れるって素敵だなと思って、建築の道へ進もうと思うようになっていきました。
荒木さんが生涯かけて作りたいという建物はございますか?
荒木:生涯かけて作りたい建物はありますね。
大学時代に仲が良かった友達が数名いて、そのうちの1人にコンペに出すと必ず賞を取るみたいなすごい友達がいるんです。
その彼は実力はあるのに全然表に出てこないような人で、ただ建築業界のすべてを知っていて、いつか彼と一緒に1つ建物を作りたいと思っています。
ただ、その1つの建物はきっと世界を変えるようなすごい建物になると思います。
実は川越で、2013年創業時に、彼と一緒に廃校を保育園に変えるというプロジェクトの設計をやったことがあるんですが、行政側の都合で計画が頓挫してしまったことがあり、事務所にはお金がなかったので、彼には事務所を去ってもらいました。
それ以来、いつかもう1回一緒にやろうと誓っています。
彼の作りたい建物は本当に見たこともないものばかりで、彼のやりたい建築と僕のやりたい建築を合わせて一緒に建物を作ることが一つの夢ですね。
株式会社80%として、今後伸ばしていきたいことはどのような箇所になりますでしょうか?
荒木:株式会社80%として伸ばしていきたいことは、何をやりたいというか「新しい世界がきている」ことを1つでも世の中に紹介していきたいなと思っています。
僕たちは1つ建築というのが軸になっていて、新しい場を築いていくというのが大きな柱になっているのは事実ですが、決して工事だけをしている人なのではなく、よりこんなことができるんだよっていうことを川越の人たちに発信していきたいと思っています。次世代への火種ですので。
僕らはコワーキングスペースを現在川越で2つ作りました。それだけでコワーキング業者だと思われてしまうこともあるんですが、そうではなく、常にその枠にとらわれない仕事をしていきたいですね。
あと川越には、行政が所有している建物で魅力的な空き物件もたくさんあるんです。そういう眠っている物件を新たな要素で活用して、世の中に川越の魅力を発信していきたいなと思っています。
株式会社80%を運営されていく中で大事にしていきたいことはございますか?
荒木:「頑張りすぎない、ちょっといい毎日」というコンセプトを会社として打ち出していますが、2割の力を抜き、自己主張のみならず、相手を尊び、享受する「生き方の提案」を社会にしていきたいという想いで、株式会社80%という名前をつけています。
20代、30代の僕らって、頑張りすぎていたわけですけど、それはそうしないと仕事が回って行かなかったり、夢に近づけなかったりして、日々頑張って生きてきました。
今、こうして自分たちも年齢を重ねて、頑張り続けることも大事なんだけど、それだけじゃないな、と思うようになりました。
株式会社80%のメンバーはそれぞれいろんな苦労や辛い想いも経験してきたから、大体の苦労も面白く処理できるようになってきているんですよね。(笑)
なので、会社として大きく発展するかというよりも、ウラ川越的文化を築ける存在になっていきたいなと思っています。
だからコワーキングスペースがうまくいったからといって、コワーキングスペースを今後もいっぱい作るかというと、そうではないんですよね。
川越の街の魅力、好きなところがあれば教えてください!
荒木:今は川越に住んでいますが、1つの市でありながら多様な顔を持っている街であることはとても魅力的だなと思います。
普段は車で移動しているんですが、川越は自転車でも回ることが十分でき、自転車でも楽しめるというのは街にコンテンツや特性があるからこそですよね。
空襲を受けていない街なので、建物や道路が昔の姿を残しているという意味でも、昔を振り返ることができるのも川越ならではだなと思います。
日常が楽しい街で、僕は学生の頃からいる街でもあるので、淡い思い出が場面場面でたくさんあるので(笑)川越に戻って改めてこの街って素敵だなと思っています。
住所 | 〒350-0066 埼玉県川越市連雀町27-1 |
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アクセス | 西武新宿線本川越より徒歩約6分 |
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