埼玉県日高市にあるサイボクハム本店は、ミートショップの他にもレストラン、野菜直売所、天然温泉もある食と健康の総合アミューズメント施設。そんなサイボクハムをより多くの人に知ってもらいたい、そんな想いで生まれたお店がサイボクJR川越駅店です。
サイボクが立ち上げられた経緯、歴史について教えてください。
沼崎:まずは歴史、そして日高市にある本店エリアについてお話しさせていただきますね。
1946年現在の埼玉県日高市の日高本店がある場所に小さな牧場としてサイボクはスタートしました。
かつてはこの場所に豚さんたちがいましたがその後環境の変化などに伴いまして、現在は宮城県と埼玉県鳩山町に牧場を構えています。※牧場の見学はございません。
サイボクの創業者は笹﨑龍雄(長野県出身)。
戦争を経験し九死に一生を得て日本へ戻ってきました。
戦中・戦後の食糧難を目の当たりにした笹﨑は、「食」で日本の復興に寄与することを胸に誓いました。
サイボクのミートショップの横には、「心友の像」が建てられています。
笹﨑は牧場を開いた当時、日本の大学や農業高校には「養豚学科」がなく、笹﨑の論文や著書を目にした学校の先生や農業青年が全国から研修に集まってきました。
そこで笹﨑は、社員と共同生活をしながら養豚について実習し、夜は学習に励むという研修生受入の制度をつくります。
養豚家としての誇りを胸に、全国各地へ巣立っていった卒業生は2300余名に及び、畜産業界や地域のリーダーとして活躍しています。その組織の名が「心友会」と言い、像の由来になっています。
「心友の像」の隣には「畜魂碑」があります。
私たち従業員は豚さんの命をいただいているという想いで春と秋のお彼岸に畜魂碑に手を合わせます。これも創業者のスピリットですね。
園内には関東では珍しく「りんごの木」があります。
笹﨑の出身地長野県から苗木で運ばれ大きくなった木がサイボクの森の入口に植えてあります。
秋になると実がなりますので、近くの支援学校の子どもたちに収穫体験をしてもらっています。子ども達が車椅子で来て収穫ができるように、あえて低いりんごの木を用意しています。
1975年、日高牧場内にミートショップを開店。
駅からも遠くお客様にとっては不便な場所で開店当初は閑古鳥が鳴く状況。
ところが笹﨑の一言が皆を奮い立たせます。「恋と味は盲目だ。最高の豚肉ができた。美味しさが伝わればお客様は必ずいらして下さる。それまで頑張ろう!!」。
その言葉どおり、クチコミでお客様が次々と増え、当初6坪だった小さなお店は1977年には27坪に拡大するほどの盛況を呈します。
ミートショップに大勢のお客様が来店したことで、消費者の声が沢山集まり、その中で最も多かったのが、サイボクの原料肉でハム・ソーセージを作ってもらいたい、という要望でした。
当時の日本には、まだ100%豚肉のウインナーがなかったのです。
そこで1979年、サイボクは小さな手づくりハム工場を立ち上げ、伝統のあるドイツの製法に学び、目指したのは日本の食文化に合った「ハム・ソーセージ」の創出。
その成果は18年後の1997(平成9)年に出品した国際コンテストにおける初の「金メダル」受賞でようやく認められることになります。
1985年に牧場直営のレストランが(今のサイボクの森入口付近)オープンしました。
1992年には、現在の300席の「レストランサイボク」が完成。
サイボクの商品をもっと手軽に提供できる「カフェテリア」、「キッチン」が次々とでき上がりました。
さらに、料理をより美味しく召し上がっていただけるソース、焼肉のたれ、ドレッシング、マスタード、カレールー等々も続々と誕生。
サイボクの本社にある日高牧場は、お客様の増加に伴い防疫上の観点から牧場の移転を決定。その跡地から2002年に大量の温泉が湧出しました。湯量は全国平均の源泉の9倍、泉質は「療養泉」のお墨付きをいただくほどの高品質な天然温泉でした。
これからは、よりゆったりと心身を癒す時空間が求められると考え、「花鳥風月」というコンセプトにまとめあげました。
周辺の木々を一切伐採することなく、緑の空間に囲まれたレストランや休憩室、清々しい里山の空気が楽しめる、開放的な露天風呂等々のある温泉館が2004(平成16)年に完成。サイボクの「食と健康の理想郷」づくりの本格的なスタートになりました。
2018年にサイボクはブランドネームのリニューアル。
名称を「サイボクハム」から「サイボク」へとさせていただいております。
2019年「サイボクの森」が完成。そして、予想もしなかった「コロナ禍」時代に、多くの方に喜ばれる野外施設となりました。食や健康をテーマにしたサイボクに、新たに生まれた「サイボクの森」。サイボクはこれからも思いをかたちにしていきます。
サイボクでは自社の牧場で豚さんを育て、ミートショップに隣接する工場で加工そして
販売をしております。
ミートショップでは自社の銘柄豚「ゴールデンポーク」の精肉・加工品を取り扱っております。
店内に入ってまず目を引くのは、内臓肉のコーナーです。
新鮮で健康な豚さんの肉を扱っています!ということを伝えたく、入口すぐの場所に並んでいます。
他にも対面販売での豚肉の計り売りや、ハムやウインナーなどの加工品の販売。
ハム・ソーセージや自社で開発したタレやレトルト食品などは欧州食品品質コンテストに出品をしています。
コンテストに出品し続け、金メダルの総数は1045個になりました。
いつも黙々と裏方で汗を流して励んでいる製造スタッフの努力が、本場のプロの審査により晴れて公の場で認められた結果です。
今後も常に職人の襟を正すため、本場ヨーロッパの審査員の目に触れることによってこの商品に間違いがないというところを確認するために今でもコンテストへの出品を続けています。
さらには地域の企業とのコラボ商品も販売をしておりまして、コエドビールさんとサイボクのコラボレーションビールやぎょうざの満洲さんとのコラボぎょうざなども販売しております。
ミートショップの前には、週代わりで様々な方に出店いただくイベントハウスや目の前でゴールデンポークの厚切り肉やスペアリブを豪快に肉を焼くキッチンサイボクなどもあります。
園内にあるレストランでは、サイボクの銘柄豚「ゴールデンポーク」を使用したバーベキューや名物のとんかつなどを楽しんでいただけるようになっています。
土日など開店待ちのお客様が早朝から並ばれることもあります。
特にゴールデンポークのロースかつは非常に人気で、来店されたら必ず注文するという方がいる程。その数は年間5万食出るほどです。
お肉といえば野菜!
新鮮野菜の直売所「楽農ひろば」は豚さんたちから出た堆肥を地元の契約農家さんにお分けしてその堆肥を使用して作った野菜を主に販売しております。
農家さんにご協力いただくことで、午後の時間でも新鮮な野菜や果物が揃っているということは1つの自慢です。
隣接のフレッシュジュースバーは2022年3月17日にオープンしたばかりです。
サイボクの森(有料アスレチック)は、10種類の遊具と1周350mの遊歩道があり、この広さが、お母さんがひとりで子どもを連れてきても安心して遊べるということで人気をいただいております。
「サイボクの森」の奥には昨年4月にリラックスエリアを追加しました。リラックスエリアではWi-Fiを飛ばしておりまして、スマートフォンで本や雑誌を読むことができリラックスチェアに腰をかけながらゆっくりしていただけるエリアです。
温泉施設も隣接しております。
2014年にオープンした天然温泉花鳥風月では品質主義を掲げお湯は毎日抜いて新鮮なお湯を提供しております。
塩化ナトリウムを含んだお湯でして、お肌がすべすべになりよく温まる泉質と呼ばれています。
かつてはテレビでご紹介いただくとアクセスの問合せが大多数でした。
今は、カーナビ、インターネットの普及と圏央道の開通で大きく変わりましたね。
コロナ以前は神奈川の湘南地区周辺のお客さまが観光バスでお見えになり川越を観光して、帰りにサイボクでお土産を買って帰ることがありました。
都内からも1時間と少しで来られるという立地でもあります。
場所柄車で来られる方がほとんどですので、駐車場は1400台用意しております。
サイボクは日高市にあると言いながらも道路を挟んで川越市と隣り合わせですし、信号の向こう側は狭山市になります。そういった土地柄ですので、川越市との結びつきも強くありますね。
サイボクJR川越駅店が立ち上げられた経緯について教えてください。
沼崎:サイボクの直営店舗はJR川越駅店の他にも、丸広川越店地下1階食品売り場にもありまして、毎日夕飯の買い物に新鮮なものを少しずつご来店される地元の方々にご愛顧頂いているお店です。
一方で川越は年間800万人が訪れていたような一大観光地でして、その多くが観光バスや電車で来られています。
そういった方々にサイボクを知っていただくお店を作ろうということで、川越への入り口の1つであるJR川越駅の改札の横にご縁があってお店をオープンしました。
取り扱い商品/メニュー
取扱商品 | デリカ、ゴールデンポーク、加工品(ウインナー・ハム・ソーセージ)、オリジナル食品、パン |
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川越を訪れた方にサイボクを知っていただきたいというお店のコンセプトですので、販売している商品も豚まんやコロッケ、スペアリブなどの食べ歩きもできるような品揃えにしています。改札横という素晴らしい場所をお借りできたのは、タイミングとご縁があったと思っております。
皆様にご愛好いただけておりまして、平日は川越が地元の方々、特に丸広まで歩くのは少し遠いなというお客様にご利用いただけております。
たくさんの量を買って行かれるというよりも、明日の朝食の一品というようなソーセージ少しといった買い方をしてくださるような方も増えております。
サイボクJR川越駅店のこだわりや特徴について教えてください。
沼崎:サイボクJR川越駅店は、サイボクのお店の中でも一番小さなお店ですのでお店における商品の種類にも限りがあります。
主に取扱う商品は、ウインナー、パン・冷凍食品、コロッケやメンチに絞っております。
平日は地元の主婦層や仕事帰りにご来店される方々からウインナー等の加工品や朝食用の食パンが人気です。
土日には観光で川越に来られた方がここで初めてサイボクを知ってスペアリブ・コロッケやメンチなどのデリカ食品が食べ歩きとしてご好評いただいております。
そういった2つの顔を持つということがお店の大きな特徴です。
従業員の皆さんが働かれていて喜びを感じる瞬間について教えてください。
沼崎:サイボクで働くメンバーには、牧場で働くメンバーもいれば、ハムやソーセージを加工する工場、お店で働いているメンバーもおります。
働く場所は違えども私たちは同じチームのメンバーです。
お客様に寄り添い、お客様の声の耳を傾けて成長できる、そういったところに喜びを感じますね。
お店で働いている方はお客様に褒められたなんてことがあればやはり嬉しく思いますし、いつも黙々と裏方で汗を流して励んでいる製造スタッフは本場のプロの審査により晴れて公の場で認められた時はやりがいや喜びに繋がっていると思います。
従業員の皆さんが働かれていて苦労されることについて教えてください。
沼崎:お客様を相手にしている商売ですので、天候などに客足が左右されてしまいます。
雨や雪が降れば客足は遠のきますし、暑すぎても客足が遠のきます。そういったところの調整が上手くいくとやりがいでもあり苦労でもありますよね。
毎日天気予報をチェックして、さらには、お店に出す商品なども天候を気にしております。先日も「もう暑い、半袖かな」なんて思っていたら次の日は肌寒いなんてこともありました。桜の春の飾り付けの横には鍋の商材なんてこともあります。自然を相手にしながら、お客様の心理も考えて商売をするということをやっています。これは牧場、野菜の生産者の方と同じですね。
そういった対応に苦労しながらも牧場から加工販売までを自社でやっているサイボクだからこそ臨機応変に対応できるということもあります。
以前製造部門にいた者が、今は直営店の店長をやっているということもありますから、部門間でもコミュニケーションの取りやすい職場になっていると思います。
サイボクJR川越駅店の店長も飲食店で働いていた経験をもつ者ですし、パートさんも地元川越の方がいらっしゃいます。
そういった現場からの声も反映させながらお客様により良いものを提供するための試行錯誤をサイボクでは重ねています。お客様に育てられた会社なのです。まだまだ未完成な状態ではありますね。
サイボクJR川越駅店として今後伸ばしていきたい、進化させたい部分について教えてください。
沼崎:長く愛されるお店でありたいという想いが1番にあります。
駅の中ですので、魅力があるお店が他にもたくさんもあるかとは思いますが、「サイボクは長く頑張っているよね」と言っていただけるようになりたいですね。
品質の良い商品の提供はもちろんですが、小さなお店でもイベントを開催してお客様楽しませたいという工夫が必要になります。
最近では「ハッピーフェア」を行って、ウインナーとピザを購入でおまけがついてくるとか、スクラッチをやって当たりが出るとか、毎日のお買い物でお立ち寄りいただく方が多いのですが、その毎日のお買い物の中で、「何かイベントやっているな、寄っていこうかな」と思っていただけるようにしていきたいですね。
長くやられている店でも、毎日同じことをやられている中で普段はそこまで繁盛している様子はないのに、いざ閉店するとなると行列ができるようなお店もよくあると思います。
やはり長くお店をやっていると日常の風景の中に溶け込んでしまいますよね。
どうせいつもあるから今は行かなくていいやと思われてしまいがちですが、川越という変化の多い街だからこそ、ささやかなイベントを行うことでお客様を離さないようにしていければなと思います。
そういった取り組みの中で、日高本店ともうまく連携をして、JR川越駅店を利用いただいているお客様には日高本店にまで足を伸ばしていただくということをやっていければなと思いますね。規模の大小、お店の大小ではなくお客様に愛されるものにしていきたいと思っています。
沼崎さんが思う川越の魅力、好きなところについて教えてください。
沼崎:川越は思い立ったらすぐに行けるところに魅力がありますよね。
都心から電車でも車でも1時間程度で行くことができます。明日は川越に行くから早起きするぞと構えるわけでもなく、よし川越に行こうかと気軽に足を運ぶことができる。
それでいて歴史や文化のある素晴らしい場所があるということが川越の1番の魅力ですね。
そしてお越しいただいた観光客の皆さんが川越だけを見て収まるのではなく、埼玉西部地方面にも足を運んで頂ければなと思います。
埼玉の人気の観光スポットとして、川越、サイボク日高本店・飯能というルートがあります。こういった形で埼玉に横串を刺すようなものも面白いですよね。
住所 | 〒350-1123 埼玉県川越市脇田本町39−19 構外 JR川越駅 |
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電話番号 | 049-238-8686 |
営業時間 | 営業時間10時〜20時 |
アクセス | JR/東武東上線 川越駅直結 |
公式SNS | https://www.saiboku.co.jp/shop/ |