昭和5年に東京都台東区の鳥越おかず横丁で始めた大学いも専門店「いわた」の暖簾を受け継ぎ、伝統の味を守りながら、“いもの街”川越で、お店を営んでおられます。祖父の代より受け継がれる伝統の味を大切にしながら挑戦を続けられておられます。
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大学いも・川越いわたが立ち上げられたきっかけ、背景を教えてください!
花俣:大学いも・川越いわたは自分の母方の祖父が、台東区鳥越にあるおかず横丁で昭和5年にはじめました。
テレビなどでも紹介されていたんですよ。
その後おじが引きついたのですが、もう80歳近くになっていたので、もうお店をたたもうかという話が出ていました。
自分としては小さいころから親しんだお店だったので、なくなってしまうのはさみしいなという思いはありました。お客様からもそういった声をいただいていました。
当時自分は20年以上サラリーマンをやってきていました。
自分は大宮出身でしたが、一緒になった妻が川越の生まれ育ちでした。
川越はお芋は有名で、和菓子屋さんや焼き芋屋さんは何軒がありましたが、大学芋のお店がなかったんです。
インターネットも普及してきて、当時自分の携わっていた仕事も3年先くらいは見通せるけれどその先どうなるかわからないと感じていたところ、川越の商店街のはずれにいい場所が見つかって、ここならできそうだと思って、始めようと思いました。
最初は家族から猛反対をされましたが、最終的にはみなで大宮から川越に引っ越して来て、ここの2階が自宅になっています。
2010年10月にスタートしたのですが、その後鐘つき堂のところで空き店舗が出て、やらないかということで、時の鐘というシンボルの近くでやれるチャンスはなかなかないなあと思い、2014年にそちらの方にも店を出しました。
川越いわたさんの商品の特徴を教えてください!
花俣:大学芋の味は、祖父の時のものをずっと引き継いでいます。
千葉県産の紅あずまを使っていました。
ただ、新しいお店に移った頃から観光客も増えてきて、若い人向けにも商品開発が必要だと考え始めていました。
川越の地元の芋も使いたいなということで、若手のサツマイモ農家の方を紹介していただきました。
品種は紅高系で、しっとりしたタイプです。
試しに使ってみたら、丁寧に作っているので味が良かったです。
食べ歩きがしやすいようにということでスティックにしました。
他にもアイス、パフェなどスイーツも作っています。
お客様のニーズにあわせて商品開発して、喜んでもらえていると思います。
開発は基本的に自分がやっています。
考えるのは嫌いではないです。ただ新しいものを始めるとなると自分1人では作れないので、スタッフと協力しながらやっていますが、妻からは増やしすぎと言われてしまうこともあります。時代に合わせて川越の街も変わっていくので、それに合わせながらやって来れているかな、とは思います。
ポップも自分で作っています。
イラストレーターは使えないのでパワーポイントで。
心がけているのは、他にはないものをやろうという考えでやっています。ちょっと変かなと思われるくらいの物をなるべく考え出していこうと。
例えば、よく大学芋のお店でスイートポテトがありますが、うちのは大学芋をマッシュして生地をつくり、その上に紫芋をココアパウダーとあわせて回りにくるんでいます。見た目がさつまいものようになっているので、知らない人が買った後で、何これ!とびっくりされてしまうんですよ。
川越いわたさんが、運営する上で大事にされていることは何でしょうか?
花俣:お客様は「人」につくと思ってやっています。
もちろん商品がおいしいことは最低の条件としてありますけれど、リピートしてもらうには接客が良かったな、と思って帰ってもらうことが必要です。
大手コンビニチェーンでも、接客はサービスとしてマニュアル化されています。
それもいいことだと思いますが、うちのような個人店ならではの良さを出していくには、やはり接客をスタッフそれぞれが個性を出して、学んでもらって行くしかありません。なのでうちにはマニュアルはありません。
お客様の層としては、特に時の鐘の店舗の方は8~9割は観光で来てくれているといった状況です。
川越いわたさんが運営されていて喜びを感じる瞬間はどんな時ですか?
花俣:サラリーマン時代は、組織の中でやっているので自分の評価が複雑で分かりづらかったです。
でも今は値段が高い、安い、好き嫌いがはっきりしているのでわかりやすいです。
試食を出していた時は、その場で生の感想が聞けましたから。
おいしいといってもらえることが一番ですね。
川越いわたさんが、苦労されているのはどんなことですか?
花俣:まずは家族や働いているスタッフのことを考えます。
ただ商品を考えて作っているだけではだめなので、天候などの悪影響が売り上げに響いたりしないか、常に気にしなければならないことでしょうかね。
コロナをきっかけにネット販売も推進して、送料無料のキャンペーンをやったら、数ヶ月間想像を超える注文をいただきました。
それは嬉しかったですけれど、実際あまり利益は出なかったですね。
その間は従業員にも休んでもらうしかありませんでしたし。
これから起こることが予測しづらい昨今ですから、難しいなりに臨機応変にやっていくしかないですね。
1930年から下町でやっていますから、2030年のちょうど100周年までは頑張ってみようかと思ってやっています。
川越いわたさんが、今後、より進化していきたいことは何でしょうか?
花俣:祖父の時代からやってきたものは守りますが、時代に合わせてやっていくことも必要だと思っています。
大学芋は、昔はご飯のお惣菜としての食品でした。
今はおやつやスイーツという立ち位置に変わっています。お客様の世代も変わっていますので、あくまでも自分たちが作ったものを提供して、お客様に来てもらいたいという姿勢ですね。
川越いわたさんが、川越の中で、どのような存在でいたいですか?
花俣:それほど類似の店があるわけではないので、大学芋といえばうち、だという存在でいたいですね。
あっちにもこっちにもあるような流行りのジャンルではないので。
最後に、川越の魅力を教えてください!
花俣:良い意味で保守的だと思いますよ。
それが街の魅力として活かされていると感じます。
自分も最初は大宮出身というだけでよそ者扱いの感じもあったんです。
でも時を重ねるにつれて商店街、店同士のつながりができてきて、温かいものになってきています。
もちろん若い人による新しい店も増えてきています。
最初はとっつきにくい部分もあるかもしれませんが、人とのつながりで新旧が織り交ざってよい街になっているのが魅力だと思います。
住所 | 新富町本店 〒350-0043 埼玉県川越市新富町1-8-17時の鐘店 〒350-0063 埼玉県川越市幸町15-26 |
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電話番号 | 新富町本店 049-298-5164時の鐘店 049-299-5041 |
アクセス | 西武新宿線「本川越駅」下車、徒歩5分または東武東上線・JR 川越線「川越駅」下車、徒歩15分。 ※最寄駅から「クレアモール商店街」を直進してください。 |
公式HP | http://iwata-corp.com/ |
公式SNS | FaceBook:https://www.facebook.com/kawagoeiwata |
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